【勤怠管理問題特集】
○教員の労働時間の把握について 予備交渉のようす
すでに組合ニュース第2号で報じている通り、12/06(火)18:10から第二委員会室において、団体交渉に向けた予備交渉が開催されました。出席者は、使用者側:横瀬総務課長、山本課長補佐、鈴木リーダー。労働側:前田委員長・過半数代表者、山本書記長、菊池専門委員。
この日の議題は次の通りでした。
1 教職員の労働時間の把握について
2 事務局職員の人事評価について
3 事務局職員の定年延長について
ここでは議題1の「教職員の労働時間の把握について」について取り上げます。これは懸案となっている勤務時間管理の問題です。
この間の経緯を簡単にふりかえっておくと、今年初め1月19日の予備交渉において、はじめて「勤務時間のオンライン登録について」について、使用者側から突然の打診がありました。キャンパススクエアの中で勤務時間管理ができるので、3月までを試行期間とし、4月から正式運用したい、ということでした。組合側ではこれを断り、それは実現しませんでした(2021年2月5日付・教職員組合ニュース:第3号)。
しかしながら、裁量労働制における勤務時間管理導入の必然性は以前から組合として十分認識しており、おりにふれ使用者側にその必要性を注意喚起してきました。そんなこともあり、組合からは都立大で行われている勤務管理の方法を使用者側に知らせ、同様の方法で本学でも行うことをこの4月に提案しました。それについては定期総会でみなさまにもお知らせしていたとおりです。その後、この方法をベースにした使用者案が教授会で説明され、何名か教員から意見が出されました。
これらの経緯をふまえ、組合では09/15の予備交渉(Zoom)で組合側の案(後述・意見書の中に引用)として提示し、当局に団体交渉での回答を求めていました。
12/09の予備交渉で使用者側の提案では、組合側提案に対する理事会等での検討結果を回答することなく、勤怠管理システム「タッチオンタイム」を導入したいという説明が行われました。このシステムは、現在授業で学生が一部教室で行っている、タッチパネルの出欠管理システムによく似たシステムです。
組合側はまず09/15に使用者側に提示し回答を求めた案についての使用者側での検討経過やその結果の説明がまるでないことに問題にし、それに対する回答に納得ができなかったことから態度を硬化し、さらにさまざまな運用上想像される不都合な点を指摘し、かなり激しいやりとりになってしまいました。
この結果、このことについて翌日の団体交渉の議題にあげることに組合は同意しませんでした。
とはいえ、組合としては急遽、理事長宛の申入れ書をつくり、翌日の団体交渉で今回の使用者側の提案に対する見解を伝えるとともに、使用者側に文書で渡しました。
それが後に示す文書です(組合ニュース2号にもすでに掲載しています)。趣旨は、裁量労働者の勤務時間管理は緊急の課題であるのだから、すぐにでも実施できる09/15組合提案の方法をまずは実施するべきではないか、ということです(委員長・過半数代表:前田昭彦)。
○勤怠管理システム・タッチオンタイムについて
予備交渉での事務局からのタッチオンタイムについての説明は概ね以下の通りでした。
・現在、勤務時間管理ができていないのは違法状態であり早急に整備すべき課題である。
・組合からはエクセルでやる方法を提案しているが、事務局では勤怠管理システムの「タッチオンタイム」の導入を考えているので説明する。
・打刻の方法がICカードの職員証を使う(新たに整備する必要がある)。
・端末に出校するときにタッチ、退校するときにタッチする。
・パソコンやスマホからでも打刻ができる。学外からでも出退勤の打刻ができるシステムである。またパソコンの起動時、終了時に打刻を自動的にするようにもできる。
・打刻さえすれば出退勤の管理ができ、教職員に手間がかからない。
・非常勤講師は現在控室にある出勤簿に捺印してもらっているが、やはりICカードによる出勤時・退勤時の打刻によりその手間が省ける。印鑑を忘れたり、持っていても押し忘れるケースがあるが、入り口で「ピッ」とタッチしてもらえばすむことになる。カードになればお財布などに入れて持ち歩けるので簡便である。
・端末に1ヶ月間試用期間があるので、職員、及び教員にも協力してもらい、数名で実験的に使用し使用感を試してみたい。その後、事務局の職員から導入し、可能であれば本年度内に導入をしたい。
・(職員の)時間外の集計は紙ベースで出してもらって月末に一個一個入力して集計するという処理をしているのだが、このシステムを使うと自動的に処理がなされる。
・労働時間の月の上限に近づいてくると警告がでるなどの機能もあり、労働時間の把握がしやすくなる。現況では休暇も手で集計しているが、有給休暇など休暇の管理も簡単にできるようになる。
・教員に関しては、来年度2023(令和5)年の4月からできれば導入したい。
○教職員の労働時間の把握についての組合側の見解と申入れ
すでに前号第2号に掲載済みですが、12/06の予備交渉での労働時間管理に対する討議を経て作成した申入れ書です。翌12/07の団体交渉で読み上げるとともに組合の有印文書として使用者側に渡しました。
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公立大学法人都留文科大学
理事長 山下 誠 様
予備交渉議題「教職員の労働時間の把握について」の組合側の見解と申入れ
2022/12/07(水)
都留文科大学教職員組合
委員長 前田昭彦 組合印
2022/12/06の予備交渉において使用者側は「議題1 教職員の労働時間の把握について」として、勤怠管理システム「タッチオンシステム」の導入について一方的に説明を行った。ごく簡単に言うと、このシステムは現在授業で行っている出欠管理システムに似ている。
組合側はこの問題について09/15の予備交渉において、末尾に示す提案を行いその回答を求めていた。しかるに使用者側の最初の説明ではそのことにいっさい触れずに、自ら提案したいシステムの説明に終始した。
ひととおり説明が終了し、質疑応答を行ったあと(なお質疑応答は、組合側は使用者側の対応に怒りを感じており、かなり強い口調でのやりとりもあった)、なぜ、組合が2ヶ月以上前に提案し回答を求めていたこと(予備交渉はその回答待ちであった)を問うと「理事会には相談した」との回答があったが、具体的な検討状況についてはいっさい説明がなかった。ある協議事項について2ヶ月以上前に提示された提案をまったくとりあげずに、一方的に自らの提案を押しつけるというのは、労使関係の問題以前に信義上許されないことである。
組合は裁量労働制の勤務時間管理について法的に不適合の状況が本学にあることを、使用者側より強く認識しており、そのことを使用者側に警告してきた。当然ながら、組合は勤務時間管理を行うことの必要性をみとめ、使用者側と協力して実現することを交渉でも、文書でも表明してきた。さらに09/15の提案はそれをいち早く実施するために、組合内部で合意がとれる内容を、すぐにでも実現可能なかたちで提案したものであった。ことの緊急性を危惧してのことである。
しかるに使用者側は、それをまったく無視し、新しいシステムの提案を今回行った。当然ながら、未知のシステムであり安定的な運用には時間を要する可能性があり、かつ、設備導入のためかなりの額の出費も必要とする。また、労働者側とそもそも合意がとれるかどうかもわからない
組合側が09/15に使用者側に示した案は、新しい設備の必要もなく、すぐにでも導入できる現実的なものである。ここ数年この問題は、本学にとって労働基準監督署の立ち入り調査により是正勧告が懸念される「緊急に整備すべき」であったはずである。にもかかわらず使用者側は、今回、運用まで費用も時間もかなりかかるシステムをあえて提案してきたのは、組合として全く理解できない。使用者側は早急に組合側の提案を深刻に検討し、そのいち早い導入を行うべきである。
以上の組合の申入れについて、文書で回答をお願いしたい。
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2022/09/15に使用者側に提示した勤務時間管理案
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4月に前期分6ヵ月、また10月に後期分6ヵ月の勤務パターンを各自作成し、提出。パターンは月曜から金曜の出校日3日のうち授業日および会議日については、一律1限から5限の時間帯を勤務時間として届け出ることとする。現実に出校する時間帯とのズレは問わない。
出校日以外の2日間については、各自勤務時間のパターンを設定する。
有給などを使用して勤務日を休業した場合は、その届に基づいて事務において勤務実績表を修正する。
週40時間以上の研究・教育業務がある場合は、その超過時間を適宜記入すること。
祝祭日・土日の休日に研究/教育活動をした場合は、勤務パターンに変更があったことを翌月末までに、事務に報告し、勤務記録を事務において修正する。またその分を翌週以後の出校日以外に代休を取った形で処理し、残業代等が発生しない形とする。代休はその分を年度内のいずれかの平日に割り当てることを可能とする。
勤務実績表に基づき、残業(超過勤務)がある者については、事務局において業務過重の実態を把握し、学内業務負担などについて適切な配慮を行う。
勤怠管理問題の目的をはっきりする。目的は教職員の過重労働の管理による健康面でのチェックであり、「どこで何をしているか」を使用者が把握することではない。
○勤怠管理システムについてご意見を下さい。
○勤怠管理システムについてご意見を下さい。
タッチオンタイムのシステムにいまのところ組合は反対ということになりますが、通例では使用者側はかなり強力にシステム整備を押してくるのではと考えてます。
勤務時間管理自体については、法律上必要なものなので、それ自体に反対ということはできません。
また、組合側でつくっている案(上記09/15)もそれなりに手間がかかりうっとうしいものかと存じます。
ぜひみなさまの疑問、ご意見、不安の声などをお寄せいただければと思います。
ご意見はメーリングストに書いてくれても良し、執行委員に伝えてくれても良し、ないし委員長maeda@tsuru.ac.jpにメールをいただいても良しです。
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都留文科大学教職員組合ニュース
2022年12月12日発行 第3号
発行人:前田昭彦
編集人:山本芳美
https://union-tsuru.org/