学長「授業アンケート結果についての申入れに対する回答」に対する組合執行部の見解
2024年8月8日
公立大学法人都留文科大学教職員組合執行部
07/12付で当組合の前執行委員長から学長に申し入れた「授業アンケート結果の使用についての申入れ」について、07/22付で学長からの回答を得た。
申入れでは07/10の教授会での授業アンケートに関する質疑応答で、「今後は授業アンケート結果(自由記述を含む)を当該授業担当者以外には閲覧させない」ということが学長・副学長から明言されることがなかったことをふまえ、このことを確認する旨の通知を全教員に行うことを求めたものだったが、これを学長は受け容れなかった。
学長回答では、冒頭で授業アンケートに申し合わせを明文化したものや規程が存在しないことをあげ、「運用方法について大学全体に共通の認識があるとは必ずしも言えない状態です。これは制度の適切な実施という観点から望ましい状態ではない」とする。次に2020(令和2)年に中央教育審議会大学分科会が提示した「教学マネジメント指針」から「そこで得られた情報を個々の教員に返却するだけでなく、組織として共有・分析したり、学生に対して結果をフィードバックしたりすることで、教育改善につなげていくことが望ましい」を引用し、今後本学として見直すべき授業アンケートの方向を示唆する。次いで、今後の授業アンケートの方向に関する審議をFD委員会に任せFD委員会で「どのような内容で実施し、どのように活用するか、改めてしっかり議論し、それを明文化することが必要である」とし、「その議論の前にこの件に関し、学長としての意見を述べること、何かを決定することは適切ではない」と結んでいる。
しかしながら、授業アンケートは現に実施・運用されているものであり、「申し合わせを明文化したもの」はないとしても、長年の授業アンケートで大学内での了解事項があったからこそ授業をする教員側の協力を得られたのであって、その申し合わせ=了解事項は明文化されていないとしても尊重されなくてはならない。
07/10の教授会で学長側も明言した「授業アンケートは教員の人事評価には使わない」は了解事項の最たるものである。また学長側が明言しなかった「授業アンケート結果(自由記述を含む)を当該授業担当者以外には閲覧させない」もその了解事項の一つである。
今回、問題の一因となったのは、授業アンケートをFD担当の職員が個票に目を通し気になるものは、FD委員長に知らせFD委員長が閲覧する。さらに必要に応じてFD委員長が学科長にも閲覧させることが行われている、ということであった。「学科長に閲覧させる」というのは、上記了解事項からは逸脱した運用である。したがって、まずは「少なくとも」授業アンケートの運用が再確認され明文化されるまでは、「了解事項」を尊重し、このような運用を大学として凍結すべきであろう。
しかるに学長回答はこのことにいっさい言及せず、今後のアンケートの改定方向を「教学マネジメント」で示しいわば新しい授業アンケートを生み出すということでよしとしかねない。直近ではこの7月に実施された授業アンケートもあり、その運用も問題となるのだが、将来の新授業アンケートで上塗りしてしまえば、現在の運用への疑義は見えなくなるとも読めるのが今回の学長回答である。
なお、授業アンケートは基本的に教学の問題であると理解しており、その運用によっては労使問題ともなることからこの間組合は関わってきた。例えば「学科長に閲覧させる」とき、その後の運用が教員評価などに結びつく可能性もあり、その場合労使問題となり労使の協議事項となる。今後の授業アンケートの再整備にあたって、組合執行部として労使問題の観点から注視していく所存である。