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組合ニュース(2024年度)第07号

都留文大 教職員組合ニュース
2025年4月16日発行 2024年度第7号

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団体交渉についての報告

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 2025年2月から3月にかけて、組合執行部は使用者側と交渉を重ねてきました――2月26日(水)[予備交渉]、3月12日(水)[予備交渉]、3月14日(金)[予備交渉・団体交渉]、3月26日(水)[予備交渉・団体交渉]。議題が多岐にわたったこともあり組合員の皆さまへの正式な報告が遅れ、申し訳ありません。ここにあらためてご報告いたします。

1.組合からの申し入れ

1-1. 大学のガバナンスに関する問題と学校教育学科教育実践系の負担について
 2025年2月26日の予備交渉において、組合執行部は、学生と教員との間に発生した問題に対して人権委員会規程から逸脱した対応がなされたケースを大学ガバナンス上の問題として重要視していることを伝え、大学側がこの問題を認めること、また、手続きとして不適切なこの対応により精神的に追い込まれた教職員に対する謝罪をすることを求めた。くわえて、この問題は学校教育学科教育実践系の教職員における過重な負担とも関連していることを伝え、この点についても大学はガバナンスの機能不全として認識すべきであることを伝えた。
 上記の点に関しては2025年3月26日の団体交渉で再度申し入れ、回答を求めた。前者については、大学はガバナンスとしての問題とは考えていないという回答を得た。後者に関しては、教育実践系の過剰な授業負担等の解消については協議する必要があるとの回答を得た。
 組合執行部は、今回のような大学執行部の裁量による学内の諸規定を逸脱した行為に対し厳しい目を向けていくとともに、現在発生している問題についても、事態打開のための仲介を厭わず、粘り強く交渉を続けていくこととしたい。

1-2. 非常勤講師の卒業論文指導に対する謝金について
 2025年2月26日の予備交渉において、組合執行部は、非常勤講師の卒業論文指導に対する謝金が「提出された卒業論文」に対する支払いに変更しようとしているという話が生じている点について問いただした。組合執行部としては、「提出できなかった」場合でも卒業論文の指導をしているのだからこうした変更は不適切であること、変更を計画しているにしても組合との団体交渉・過半数代表者との合意が必要になることを指摘した。
 2025年3月26日の団体交渉において本件についての回答を得た。結論としては、従来どおり、卒業論文を担当する非常勤講師に対しては、今後も従来通り、卒論を履修登録した学生数に応じて支払うかたちが維持される。

1-3. 新しい大学会館の利用料について
 2025年2月26日の予備交渉において、組合執行部は、新しい大学会館の利用料を現状維持にしてほしいという申し入れをした。関連して、学校教育学科の実技系の諸教員や教職支援センターの教員は授業準備や教員支援業務(6限以降)のためどうしても宿泊しなければならないことが多い点の指摘、連泊割引などはできるのではないかという意見、入試の場合の部屋数の問題の指摘、宿泊費を大学が負担する地方会場と前泊費が個人負担となる都留会場との不公平性という問題の指摘をした。大学側からは、昨今の物価高騰でクリーニング代も高くなっており光熱費も大学負担という事情の説明があった。
 大学会館については、2025年4月3日付け総務課財務法制担当からの専任教員全員宛メールで宿泊料改定の報告があった――宿泊料(1泊)は1,500円+シーツ代500円で一泊の料金は2,000円、連泊の際のシーツ交換を希望しない場合は宿泊日数×1,500円が上乗せ。これに対しては同日に前田昭彦過半数代表者(地域社会学科教授、教職員組合執行委員長)が返信し、教職員組合そのほかを通じて多くの苦情が寄せられていることを伝え、交渉事項になりうるため組合員・非組合員を問わず賛成できない旨の「具体的事情」を表明してほしいという連絡を行った。

2.使用者からの申し入れ

2-1. 給与規程改定案の申し入れ・内容

このたび使用者側から次の給与関連規程の改定提案がなされた。

1 .公立大学法人都留文科大学職員給与規程の一部を改正する規程(案)
2. 公立大学法人都留文科大学職員給与規則の一部を改正する規則 (案)
3. 公立大学法人都留文科大学職員の初任給、昇格、昇給等に関する規則の一部を改正する規則 (案)
4. 公立大学法人都留文科大学特任教授等に支給する報酬等に関する規則の一部を改正する規則 (案)
5. 公立大学法人都留文科大学非常勤講師に支給する報酬等に関する規程の一部を改正する規程 (案)
6. 公立大学法人都留文科大学有期雇用職員就業規則の一部を改正する規程(案)
7. 公立大学法人都留文科大学職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規程の一部を改正する規程(案)
8  公立大学法人都留文科大学職員等旅費規程の一部を改正する規程 (案)

なお変更項目は複数の規程、規則に及んでおり、使用者側が変更事項として提示してきた内容は次の通りである。なお末尾の()内は、規程を示す。

① 給料表の引き上げ(1.2.)
② 特任教員の報酬規則の改正(4.)
③ 給料表の引き上げに伴う昇級時・降格時号給対応表の変更(3.)
④ 賞与0.1月分の平準化(1.)
⑤ 勤勉手当の支給率の見直し(1.2.)
⑥ 扶養手当の改正(1.2.)
⑦ 通勤手当の引上げ(2.)
⑧ 管理職員の平日深夜(22時~5時)勤務に対する手当の対象時間拡大(1.)
⑨ 子の看護休暇の拡充(7.)
⑩ 介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認等(7.)
⑪ 旅費規程の変更(8.)

2-2. 給与規程改定案に関する交渉の経過と結論
 今回のこの改定提案は、組合側からの団体交渉の申し入れに対し、使用者側からも提案があるということで、交渉事項に加えられ、最初の予備交渉は2025/02/26で行われた。
 その後03/12に予備交渉、03/14に予備交渉、団体交渉、03/19に予定されていた団体交渉は降雪の影響などで流れ、03/26にかなり長い団体交渉が行われた。おおむね妥結を見たがいくつかの点に関しては確認書というかたちで労使調印した文書を残しておくこととし、細部については詰め切れていなかった。年度末で交渉もなかなか開催が見込めず、可能であれば確認書についてメール等で合意するということにした。3月末まで、メール、電話などで労使間で調整を行い、確認書について合意、双方で署名・捺印した。これをもって、上記一連の規定改訂案について妥結した。ただし、全体として「セットメニューになっており妥結しないと今回のわずかな昇級を含む給与体系が実現しないこと」「セットメニューになっていること自体、私たちは同意できないこと」などの問題があり、今回は「やむなく」妥結するというニュアンスである。以上、組合が妥結したので、過半数代表者も本改訂案に同意した。
 確認書は以下の通りである。

2025年3月26日の団体交渉における確認事項

 2025年3月26日に開かれた団体交渉において次のことを労使双方で確認する。

1.「公立大学法人都留文科大学特任教授等に支給する報酬等に関する規則の一部を改正する規則 (案)」については、これまで給料表の号給の範囲内で理事長が定める額を基準としていたものを、金額を明示するかたちに変更するものだが、額については毎年度に教職員組合との労使交渉を通じて妥結すること。

2.「公立大学法人都留文科大学職員等旅費規程の一部を改正する規程 (案)」で、日当を廃止する件について、使用者は新たに高校訪問手当、教育実習手当などの導入について検討すること。

3.「公立大学法人都留文科大学職員給与規則の一部を改正する規則(案)」について、使用者からの正式提案は2025年2月26日であり、教職員組合での内容の検討、予備交渉・団体交渉での妥結までの期間は1カ月しかなかった。同種の改正提案については、今後、充分な交渉期間を確保できるように余裕をもった日程調整を行うこと。

4. 「公立大学法人都留文科大学職員給与規則の一部を改正する規則(案)」52条の2、「公立大学法人都留文科大学職員の初任給、昇格、昇給等に関する規則(案)」第21条、および「事務職員人事評価への反映について(案)」に関連して、使用者は当事者である事務職員の意見の集約に努めること、また、今後3カ年以内に見直しも視野に入れた労使交渉を行うこと。

5.本書を2通作成し、労使で署名・捺印してそれぞれで保管する。
使用者:公立大学法人都留文科大学事務局長
被用者:都留文科大学教職員組合執行委員長

2-3. 交渉でのいくつかの論点に対する意見

(1) 学長補佐の管理職化について 
 今回の改定内容として上記①~⑪にはない組合にとっては見逃せない事項が含まれていた。給与規則の別表第1(第18条関連)について、学長補佐は従前「職務付加手当」の表にのっていたが、それが「管理職手当」の表にいわば「こっそり」移されていた。これは学長補佐を管理職化する大きな変更である。にもかかわらず、02/26に提示された使用者側の説明資料にそれがなく、説明もなかった。
 本件は2017年中央労働委員会で労使で争った学科長の管理職化問題につながるものであり(中労委命令は組合側の主張を認め学科長を管理職としなかった)、組合側はこれまで一貫して、学長補佐、附属図書館長、教育研究組織等の各センター長、大学院文学研究科委員長、各学部学科長は、管理職でないという立場をとってきた。また、現況規程も中労委命令などを踏まえ、そのようになっている(これらの職には、管理職手当が付くのではなく、職務付加手当がつく)。
 02/26の予備交渉では、このとおり学長補佐の管理職化については団体交渉の正式議題にあげていなかったが、組合側からの指摘を受け03/12の予備交渉では、正式な議題としてあげてきた。
 事務局長からは、2年ほど前の教育研究審議会で学長補佐を管理職化したいという話を最初に出し、その後ことあるごとに話題に出してきたつもりだったが正式な労使交渉の議題にしてこなかったというのはその通りで、非常に申し訳なかったと思っている、今回あらためて議題として提出し、4月1日に改正したいが合意を得られなければ今後に交渉を重ねて協議させていただきたい、という説明があった。
 組合委員長より、教員組織はできるだけフラットな同僚関係にしておきたいこと(「学科長」もかつては「学科主任」という表現を使っていた)、事務方とは違って教員間に上下関係をつける改定には危機感を覚えること、今回に議案として提案は受けたがすぐに合意はできないことを伝えた。
 結論として、「給与規則(案)」の別表第1のうち、学長補佐に「管理職手当」を出すという表記は削除され、2025/4/1の時点で学長補佐を管理職として位置づけようとする改定は取り下げられた。

(2) 特任教員の報酬規程の変更 
 上記②にあたる。
 内容は、これまで給料表の号給の範囲内で理事長が定める額を基準としていたものを、金額を明示するかたちに変更するもの。さらに具体的な運用は、特任Aは各級5号、特任Bは各級1号とされている(いわゆる格付け)。具体的な額は次の通りと使用者側から説明を受けている。
  特任教授A:月額430,200円
  特任教授B:月額423,100円
  特任准教授A:月額368,400円
  特任准教授B:月額358,300円
  特任講師A:月額325,700円
  特任講師B:月額317,100円
 今回の改訂案はこの額をそのまま追認しており(但し特任准教授Bは一部360,900円としている)内容的には不利益変更はない。但し、昨今の物価高騰の折、労使確認事項として「額については毎年度に教職員組合との労使交渉を通じて妥結すること」を結ぶこととした。
 組合員からの意見としては、「特任教員は専任教員と明らかな待遇格差があり、しかもその雇用形態は不安定極まりないものであるという現状」があり、「「不利益変更がない」という理由で、使用者側と同意する方向であることに対しては、大きな違和感を感じております。なぜなら、それは特任教員の置かれた雇用環境を追認することに他ならないからです」などが出されている。

(3) 旅費規程の変更 
 上記⑪にあたる。
(A) 日当を廃止し、宿泊を伴う旅行に必要な諸雑費(夕朝食代を含む。」に充てるための旅費である宿泊手当(定額)を新設
(B)宿泊料を定額から上限付きの実費支給に変更
(C)鉄道賃の特急料金は、距離規定を廃止し、実態に応じた支給に変更
(D)いわゆるパック旅行に要する費用である包括宿泊費を新設
(E)赴任旅費の支給対象について、不要要件を廃止し、同居する家族に変更
うち(C)~(E)は特に問題ないと認めた。
(A)(B)については、(1)宿泊を伴う旅行に必要な諸雑費(朝夕食代を含む)に充てる宿泊手当(定額)を新設。(2)定額宿泊手当の「定額」とは都道府県別・国別の上限付き実費を指し、その都度に宿泊領収書の提出が必要。(3)「定額」宿泊手当を設ける代わりに、従来の日当は日帰り出張も含めて廃止。以上のほか、2024/8/1に施行された「物価高騰等に伴う旅費における宿泊料の緊急的措置」(2024/81に庶務人事課より配信されたメール=件名「物価高騰等に伴う旅費における宿泊料の緊急的措置について」)は、あくまでも「緊急措置」だったという理由で無効になるという点も、この旅費規程の変更案に含まれている。
 組合からは、業務として日帰り出張をする場合の日当廃止は不利益変更になると指摘し、「高校訪問手当」「教育実習訪問手当」「介護実習訪問手当」「留学生の実習先への訪問手当(国際教育学科の場合)」等の新設を検討してほしいと伝えた。また、都道府県別・国別の「定額」宿泊手当は、「国家公務員等の旅費支給規程」の改正に準拠することが想定されている。組合からは、渡航先の国によってはこの規程での「定額」を上回る可能性がある点を指摘し、先の「物価高騰等に伴う旅費における宿泊料の緊急的措置」に対応するような、やむを得ない場合の例外措置を認める項目を追加することが必要であるとした。
 今回は、確認事項として「日当を廃止する件について、使用者は新たに高校訪問手当、教育実習手当などの導入について検討すること」を結んだ。

(4) 勤勉手当の支給率の見直し
 上記⑤にあたる。
 使用者側からは、人事評価の給与への反映を本学のプロパー職員から実施していきたいという見直し案(市役所から出向の職員についてはすでに実施)が提示された。今回の給与規定・給与規則の改定案では、号給、勤勉手当の支給率に人事評価(成績区分)を反映させたいという意向が表明されている。教員に対しても人事評価による勤勉手当の支給率設定を加えたいというのが使用者側の見解ですが、現時点では実施できる状態にないこと、導入にあたっては労使間の交渉事項であることを確認している。
 この件については組合主催で3月18日(火)15:00~16:00の学習会(オンライン)を開き組合員からの意見をきいた。誰が評価するか、評価の方法が適切か、不当な評価がなされたときの対処は可能か、公平と感じられない場合職員のモチベーションが著しく落ちるなどの意見が出され、概してネガティブな反応だった。
 「・・・使用者は当事者である事務職員の意見の集約に努めること、また、今後3カ年以内に見直しも視野に入れた労使交渉を行うこと」を確認事項にいれた。

(5) 扶養手当の見直し
 上記⑥にあたる。
 扶養手当について、配偶者手当は現行6,500円のところ、2025(令和7)年度3,500円に、さらに翌年度廃止する。子の手当は逆に現行10,000円から2025(令和7)年度11,500円、翌年度は13,000円に増額する。妻を扶養する子のいない世帯にとっては、不利益変更となる。数回の交渉を続けたが、「他団体も国の方針にしたがって、配偶者手当の段階的廃止と子の手当の段階的増額をしている」など使用者側は主張しており平行線をたどった。
 組合側から昇給があるから配偶者手当が2年後になくなったとしても給与全体として不利益変更にはならないことを示すデータ、給与表の改定により給与全体は「上がる」という客観的な証拠があれば納得できる、との発言があった。
 組合執行部としては、全体として給与が上がるということなのでやむなく妥結するが、新年度になってから、不利益になった人がいるかいないか調査をするということにした。

(6) 交渉日程
 今回の交渉は内容もきわめて多いほか、スケジュールが非常にタイトであり、必ずしも改訂案について十分な議論が尽くせたとは言えない。そのことから、労使の確認事項として次を加えた。
 「公立大学法人都留文科大学職員給与規則の一部を改正する規則(案)」について、使用者からの正式提案は2025年2月26日であり、教職員組合での内容の検討、予備交渉・団体交渉での妥結までの期間は1カ月しかなかった。同種の改正提案については、今後、充分な交渉期間を確保できるように余裕をもった日程調整を行うこと。

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お近くの新任教職員の方にお声がけください
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 4月1日に新しく本学に着任した教職員の方々を迎えました。新任教職員の皆さまには、後日、執行部から直接に教職員組合のご案内をお送りしますが、各学科・各センター・各課に入職された新任教職員の方に、現組合員の皆さまからもお声がけいただければ幸です。

都留文科大学教職員組合ニュース 2024年度第7号
2025年4月16日発行
発行人:前田昭彦
編集人:青木深
https://union-tsuru.org/