都留文大 教職員組合ニュース
2025年6月7日発行 2024年度第9号
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通勤届の提出と、本件に関して2011年に行われた労使の交渉・合意事項について
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2025年4月18日に「専任教員_ALL」宛に総務課から以下のメールがあり(件名「通勤届の提出について」)、その後、組合ALLメールでも何度かやり取りがありましたが、気にしている組合員も少なくないと思われますので、現時点までの経過をご報告いたします。以下、引用:
各位
公立大学法人都留文科大学職員給与規程の改正に伴い、通勤手当(電車)の上限額が月額15万円に引き上げになりました。
つきましては、通勤手当の再計算を行うため、電車通勤をされている方は、通勤届の提出をお願いいたします。
なお、最新の金額を把握する観点から、全員提出をお願いいたします。
金額については、6ヶ月定期の金額をもとに、ひと月分の通勤手当を算出します。また、通勤届の提出にあたり、6ヶ月定期券の写しの添付をお願いいたします。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。提出期限:令和7年5月2日(金)
この件については05/14(水)昼休みに予備交渉を行い、過去の交渉内容を探索することになりました。
探索の結果、2010-2011年当時の組合執行部が大学側と交渉を行い、労使双方が捺印した合意文書は残していないものの、以下(1)~(3)を大学事務が了承していることがわかりました。
(1)定期券の購入・提示は義務ではない。
(2)回数券の使用・提示でも問題ない。
(3)その場合でも、実費に合わせて通勤手当を増/減額することはできない。
たしかに、公立大学法人都留文科大学職員給与規則第24条(通勤の確認及び決定)に明記されていますように、理事長が通勤の「届出に係る事実」として「確認」する必要があるものは「通勤用定期乗車券(これに準ずるものを含む」ですので、6ヶ月定期券である必要はありません。さらに、確認の「方法」は「提示を求める等の方法」とあり、複写の「提示」以外の「方法」もありえます。
なおこの点について、5月24日に前田執行委員長が程原総務課長に面会し、以下に貼り付ける資料(一部)とともに次の点を伝えました。
「これまでのような通勤手当の支給の仕方・その柔軟な使い方は、労働条件の一部として長年保障されてきたものであり、そのような労使慣行を、規程上の根拠・実際上の緊急の必要性もなく、なおかつ、教員側(の一部)にあきらかに不利益になるような形で(支給額以上の費用を自弁させてまで定期券購入を強いる)、一方的に変更することは不当。」
程原課長は、そのときは「調べて早急に対応したい」という返答でした。翌25日には、当時の事務担当者がわかったのでその名を程原課長に伝えました。6月2日(月)には「仮にそちらの資料が確認できないとしても、私たち被用者側にあれだけの資料があるのだから、お認め下さい。心配している教職員も多いので、早急に過去の合意にそった対応をとるよう強くお願い申し上げます」と申し入れましたが、6月6日(金)に至るまで回答がありません。以下、前田執行委員長による資料:
通勤届についてこれまでの労使の合意事項について
2025/05/24
都留文科大学教職員組合委員長
前田昭彦
1. 過去の労使合意、労働慣行
2025年5月14日の予備交渉について、過去の組合との合意等があったか労使双方で確認してみるということでしたが、当方の探索結果についてご報告します。
2011年3月に組合員向けのメーリングリストで、当時の執行部大森一輝書記長が報告をしていることがわかりました。資料1の一連の資料です。
資料1-4によると以下のことがわかります。
(1) 2010年夏、事務側が、全教員に定期券の購入と提示を求めるという方針を表明。
独法化後の「通勤届」の書式(旧バージョン)も、すでにそれを前提に作られていた()。
(2) 2010年10月、組合側は次のことを指摘した。
(A)定期券の購入・提示は義務ではなく、
(B)回数券の使用・提示で問題なく、
(C)その場合でも、実費に合わせて通勤手当を増/減額することはできない。
以上、資料3の文書をもとに指摘した。
(3)事務側、基本的に了承。それに合わせて「通勤届」 の書式を改訂することを約束。
(4)3月、改訂版「通勤届」の提出が求められる。
現時点で合意文書をつくっているかは不明ですが、少なくとも上記では「事務側、基本的に了承」とあるので、団体交渉等で合意にいたったと思われます。それは翌2011年7月20日(水)に開かれた定期総会でも言及があることから(資料2)、明らかです。
事務局は2011年3月に、「通勤届」の提出を教員側に求めていることがわかりますが、メールの検索では探せませんでした。各教員のポストに文書と通勤届の書式を届けたのかもしれません。
この事務局側の要請に対し、前年10月の合意をもとに大森書記長が教員に通勤届の提出のしかたのアドバイスをメーリングリストを通じて教員に与え、最終的には大森書記長の示したフォーマットを参考に届出を行ったと考えるのが妥当です。
これがここ14年間の労使慣行になっていました(但し、新任教員については組合もチェックはしておらずどうなっていたかわからなかったといえます)。
資料1 2011年3月に組合員メーリングリストに流れた文書
資料1-1 [ks-union:00193] 「通勤届」について
omori omori@tsuru.ac.jp
2011/03/10 13:33
To ks-union@union-tsuru.org
組合員のみなさま
4月5日までに提出を求められている「通勤届」ですが、以下の諸点にご留意ください。
この件につきましては、組合としても折衝を重ね、不利な変更とならないようにしました。
(1)この「届」は、あくまでも、通勤の経路・運賃等を確認するためのもの。
*定期券ではなく回数券を選択しても、通勤手当が減額されることはない。「定期券を持たない理由」を「備考」欄に書く必要もない。
(2)通勤の実費を申告するものではないので、回数券の「月間の使用枚数等」を「備考」欄に記入する必要はない。
(回数券の場合、月21回分を支給することに規程上なっている。それが定期券代を上回った場合には、定期券代相当分が支給される。)
(3)回数券は11枚並べてコピーする必要はない。(経路・区間運賃の確認のためなので、1枚でOK。)
(4)回数券等の存在しないバス等を利用している区間については、届の「乗車券等の種類」欄に「スイカ/パスモ/バスカード」などと書き、その右「乗車券等の額」の欄に区間運賃を記入すればよい。
(5)裏面の「略図」は、主に自動車通勤の人が描くもの。公共交通機関を利用している人は、回数券・定期券に記されている経路以外に(その途中、前後で)、特に記すべきものがあれば描く。
不明な点がありましたら、各学科の執行委員または書記長の大森(omori@tsuru.ac.jp)までお問い合わせください。
…
資料1-4 [ks-union:00196] 「通勤届」について(補足)
omori omori@tsuru.ac.jp
2011年3月11日(金) 6:24
To ks-union@union-tsuru.org
みなさま
昨夕のメールは、急いで書いたので、説明が舌足らずだったかと思います。お詫びを兼ねて、若干補足させていただきます。
経緯は、以下の通りです。
・昨夏、事務側が、全教員に定期券の購入と提示を求めるという方針を表明。独法化後の「通勤届」の書式(旧バージョン)も、すでにそれを前提に作られていた。
・昨年10月、組合側、次のことを指摘(この申し入れの際に使ったのが昨夕添付した大森名の文書)。
通勤手当というものの性質上も、現行の規程上も、(A)定期券の購入・提示は義務ではなく、(B)回数券の使用・提示で問題なく、(C)その場合でも、実費に合わせて通勤手当を増/減額することはできない。
・事務側、基本的に了承。それに合わせて「通勤届」の書式を改訂することを約束。
・3月、改訂版「通勤届」の提出が求められる。
この「通勤届」を定期的に提出するのか(事務側は、毎年出してもらいたいようです)、その際にコピーも提出するのか、については、交渉の余地はあります。
規程上は、届の提出は、新規に採用されたときと通勤経路に変更があったときだけでいいことになっていますし、その際にも、定期券・回数券の「提示」は求められていますが、「コピー」を出せという明示規定はありません(「現物を見せる」だけでもいいはずです)。
ただし、事務側にも事情があるでしょうから、回数券のコピーで構わない、減額はあり得ない、ということが確認できていれば、年に一度(あるいは2年に一度)くらいの提出要請には、コピーも添えて、応じることでいいのではないかと、現時点では、暫定的に考えています。
大森
…
資料3 資料1-4 通勤手当について(2010年10月頃)
※2010年10月に組合側から大学へ申し入れた文書(一部を抜粋)
関連諸規定等を精査・熟考した結果、現時点で、大森個人としては、通勤手当の性格・運用等について次のように考えています。事務方としてのご見解をお教えいただければ幸いです。
1.通勤手当は(そのような性質を色濃く持ってはいるものの)実費弁済ではなく、あくまでも手当
[根拠]
・労働法制上も判例上も、(非課税とはいえ)基本的には、賃金として扱われる(社会保険料の算定基礎にも入る)。
・本学でも「給与規程」「給与規則」でその支給が定められている。
・上限(=実費を全額支払わない場合)がある。
[帰結]
・通勤手当は、実態に応じた実費支給ではなく、一定の基準で算出された(2を参照)定額支給。
自動車の場合は、自宅から大学までの距離でいくらと決まっている。
(燃費のいい車/悪い車を使ったからといって、差額を返納せよ/追加支給せよとはならない。)
電車の場合は、最寄の停留所/駅から大学までの定期券代でいくらと決まっている。
(回数券を使うことで時期によっては余った/足が出たからといって、差額を返納せよ/追加支給せよとはならない。)
・通勤に使うことが想定されているとはいえ、手当なので、届け出ている通勤経路・方法が虚偽でない限り、そして、実際にその経路・方法で通勤している限り、使い方(ガソリンや乗車券の買い方)を指図/詮索されるいわれはない(3を参照。研究費のように、支出の適正さを領収書等の証拠をもって申告する必要はない。扶養手当をどのように扶養に使ったのか、寒冷地手当でどんな暖房用燃料を買ったのかをチェックされないのと同じこと[そうではなくて、実際の支出の確認がどうしても必要だというのなら、自動車で通勤している者も含めて、全員に、毎年、その年度に支出したすべてのガソリン代の領収書+走行記録あるいは購入した定期券すべてのコピーを出させなければならないはず])。
・燃費の悪い車に乗るのも割高な回数券を買うのも、使い方は自由。その結果、出勤回数が多ければ、通勤手当では足りなくなるが、それは自己責任(逆に、余る場合もあり得る。このことは規則にも織り込み済み。出張・休暇・欠勤その他の事由で、まるまる1か月一度も出勤しない場合は当該月の通勤手当を返納することになっているが、そうでない場合、つまり、一度でも出勤すれば、通勤回数が減っても返納せよとはされていない[給与規則第31条])。
2.定期券は通勤手当の額の算出・確認のための道具(の一つ)に過ぎない
[根拠]
・通勤手当の額を算出する際には、定期券の価格をもって「運賃等相当額」とすると定められているが(給与規則第26条)、これは、定期券の購入・使用を義務付けるものではなく、あくまで「算出基準」。
・また、理事長が通勤手当の支給に際して確認するのは、通勤の「届出に係る事実」=通勤経路・方法・運賃等の額で、その方法も、「通勤用定期乗車券(これに準ずるものを含む。以下「定期券」という。)の提示を求める等の方法に」よる(同24条)。事後の確認も同様で、「通勤手当の額が適正であるかどうか」を、「定期券等の提示を求め」ることで確認する(同第35条)。
[帰結]
・通勤手当として支給されているのは、「定期券購入費用」ではなく、「定期券価格から判断した通勤にかかる費用(の一部)」であり、それを用いて定期券を購入する義務はない(それどころか、通勤費用が支給の上限を超える者は、手当では「買えない」)。
・「届出に係る事実」の確認には、定期券(のコピー)を提出しなければならないというわけではなく(「準ずるもの」でも可、提示を求める「等」=それ以外の方法でも可)、何に乗って・どこを通って通勤していて、その区間の運賃はいくらなのか、がわかれば、回数券を見せるだけでも問題ないはず【他の公立大学法人に実例あり[後述]】(乗車券として、定期券を使っているのか回数券を使っているのかを申告せよ、という規定もない。定められているのは、どちらを使うのが「最も経済的かつ合理的」かを法人側が認定する、ということだけ。その判定に際して、経路及び方法・運賃等の額は何で確認しても構わない。教員側から回数券を提示された場合、経路・方法・区間運賃はそれで確認したとしても、その経路・方法の場合、「定期券を使用することが最も経済的かつ合理的」=安上がりだと判断されれば、定期券価格で通勤手当を算出すればいいだけ。また、仮に、「回数乗車券等を使用することが最も経済的かつ合理的」と認められた場合でも、必要があれば通常の出校日以外にも出勤する[それを法人側が求める]ことがあり得るため、週5日通勤できる費用を保障しなければならず、だからこそ、規則でも、実際の通勤実績回数分ではなく、月に21回分という定額を支給することになっている[給与規則第26条。週5日分であれば、定期より回数券が安いことはまずないため、回数券価格で通勤手当を算出することは事実上起こり得ないが])。
・「通勤届(様式第3号)」で、「乗車券等の種類」として「6ヶ月又は3ヶ月定期、10枚綴回数券等の別を記入」させ、「交通機関利用者は定期券の写しを必ず添付すること」を求める規程上の根拠はない(これでは、回数券使用と申告しても、「交通機関」を利用している限り、「定期券の写しを必ず添付」しなければならないことになってしまう。また、定期券使用の場合、「6ヶ月又は3ヶ月定期」と申告させるのに、「乗車券等の額」は「1か月定期の額」[「ヶ」と「か」の表記も不統一]で確認する、というのも意味不明[金額が違うのに]。ついでに言えば、JRも富士急も、回数券は11枚綴で、「10枚綴回数券」など存在しない)。さらには、「備考」欄に「回数券の … 月間の使用枚数等を記入する」ことを求めるのは、実際の通勤回数にかかわらず21回分を支給すると定めた規定に反する。
3.通勤に係る支出の実態を確認せよという規程は存在しない
[根拠]
・規程上確認することになっているのは、通勤の実情(経路・方法・運賃等の額)だけで、通勤費用の支出の実態ではない。定期券「等」の提示は、(2で述べたように)あくまでも通勤手当の額の算出・確認のため。個々の教員の通勤費の支出実態を確認せよ(通勤手当が足りなければ実態に合わせて追加支給せよ、余っていれば返納させよ)とはなっていない。
・支出実態の確認など、(通勤以外にも使用する)自動車での通勤の場合には不可能で(だから求められない)、通勤形態によってチェックされたり(電車通勤)されなかったり(自動車通勤)するのは不合理で、そもそも(特に、実費より少ない額しか支給されていない者に、自腹を切って定期券を買うことを強要するのは)手当の使途への介入・干渉であり不当。そんな規程を作れるはずがない(無理矢理作ったとしても、公序良俗に反し無効)。
[帰結]
・理事長が確認するのは、その区間の定期券の場合の運賃は「いくらなのか」(それで通勤手当を算出する)であって、(個々の教員が実際に)「いくら使ったか」ではない。
・それは、事務的にいくらでも確認できる(事実、現在そうやって通勤手当の額を算出している)。つまり、定期券を買っているか否かをチェックする必要も、されるいわれもない。
・監事も、規程に照らして、「大学の通勤手当支出」が適正だったことを監査すればよく、「教員個人の通勤費支出」を監査する必要はない。
・通勤手当の支出自体は、規程・規則に従い、定められた額(自動車通勤であれば距離に応じて、電車通勤であれば定期券代を基に、算出された額)を支給しているのであって、監査上もまったく問題ない。
・規程通りの額が支給されているかどうかは、教員側が提出した通勤届、その通勤の実情を示すもの(定期券・回数券その他のコピー等)、通勤手当の額をどのように算出するか定めた規程・規則、支給実績を示す書類があれば、十分に監査できる。
・教員に対してチェックしなければならないのは、通勤の届出に係る事実に変更がないかどうかだけ。
都留文科大学教職員組合ニュース
2025年6月7日発行
発行人:前田昭彦
編集人:青木深
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