都留文科大学教職員組合ニュース 第2号 2007年6月20日 組合執行委員会 |
本日準備委員会、「定款」両論併記か?!
事態は、いよいよ重大局面へ
−ー 新聞折込チラシで市民へ呼びかけ
本日、市側の設置した第2回法人化準備委員会が開催され、いよいよ独立行政法人の経営の根幹を決める定款の議論が山場を迎えました。この準備会では市側の案と大学案との共通点と相違点が明らかにされますが、なお理事長・学長分離型を選択するのか一体型を選択するのか、理事長独裁型の組織とするのか合議制を保障する理事会を設置するのか否かなどで重大な相違点を残しています。次回準備委員会は8月7日に予定されており、それまでに委員長による調整・裁定が出される可能性があり、事態は定款をめぐっていよいよ重大な局面にさしかかっています。
20日朝刊、新聞折込チラシ発行
朝日、読売、日経、山梨日日8000部、市民へ
13日の教授会終了後の組合員集会には50名以上の組合員が参加し、組合として発行する新聞折込チラシの内容を検討しました。活発な意見が出され、最終的には執行委員会に内容が一任され、集会終了後も意見の調整が進められ、翌日14日に入稿し本日20日に、4紙に織り込まれ市民、約8000世帯へ届けられました。今後、市民から様々な反応が寄せられると思いますので、その声を執行部へ集めて下さい。また、今回のチラシへの意見も執行部へお寄せ下さい。次回のチラシに反映させたいと思います。
昨日、市民集会にむけ呼びかけ人会議始まる
− 日程を7月14日(土)に変更
昨日夜大学内において、7月7日(土)午後(ピュア富士)に開催される予定だった独法化問題を考える市民集会(仮称)の呼びかけ人会議が開催されました。集まった市民はまちづくりなどの市民活動に日頃参加し、大学の将来に強い関心を寄せている方々です。組合からは稲垣執行委員長と、この会議を中心的に準備してきた千葉先生(拡大執行委員)が参加しました。そのなかで開催日について14日への変更と会場を大学に変更することが決まりました。会議の詳細は別途ニュースでお知らせします。
いずれにしても7月14日(土)の集会は、今後の独法化問題の方向性を左右する重要な集会になりますので、組合員の多数の参加をお願いします。ここに当事者の私たちが集まれないようでは、市民の信頼は得られません。各学科毎に参加者を集約してください。
顧問弁護士と正式契約
昨日午後組合事務所において、稲垣執行委員長と尾林弁護士・松尾弁護士(八王子合同法律事務所)との間で正式な顧問弁護士契約が結ばれました。契約内容は、@組合への法律指導、A組合員の法律相談、B講演など特別な組合からの依頼、の3点です。@とAは八王子の弁護士事務所に私たちが出向けば全て無料です。A組合員の法律相談は、組合員のあらゆる個人的な法律相談にも応じます。直接弁護士事務所に電話し、尾林弁護士か松尾弁護士に予約を取ってください。今回の契約では、尾林弁護士のご尽力により非常に低廉な顧問弁護料で引き受けていただきました。
ミニ学習会 尾林弁護士からカンパも
「労働協約締結の交渉を市側が拒否すれば不当労働行為」
「36協定が締結せず、土日などに教職員を動員すれば違法行為」
昨日は引き続いて、午後6時より尾林弁護士と独法化問題でのミニ学習会を開催し、10名ほどの組合員が参加しました。これは尾林弁護士の発案で開催されたもので、講師料などは無料でした学習会では様々な質問や疑問がだされましたが、尾林弁護士からは「独立行政法人化以前において、労働協約に関して早急に交渉に入る必要があるが、市側はこの交渉を拒否することはできない。拒否すれば不当労働行為となる」
「従業員の過半数代表と労働基準法36条に基づく時間外・休日労働に関する協定(36協定)を使用者は結ばなければならないが、これが締結せず土日の入試、オープンキャンパスに教職員を動員すればそれは違法行為となる、36協定を武器に攻勢的な労使交渉を」「都留文科大のような小規模大学での独法化は経済的にもメリットがなく、経費の純増を生み出す」などの助言がありました。参加後懇親会が開催されましたが、尾林弁護士から「組合もこれからお金がかかるでしょうから僅かですがカンパします」と3000円が組合に寄付されました。
顧問弁護士からのメッセージ 2007.6.20
弁護士 尾林 芳匡 弁護士 松尾 文彦
地方独立行政法人制度を専門に研究してきた立場から、組合の顧問弁護士としての活動を始めましたので、よろしくお願い申し上げます。ごあいさつに代えて、都留文科大の地方独立行政法人化について、当面気づいたいくつかの点を紹介させていただきます。
この大学で経費の増大が確実な地方独立行政法人化を急ぐべきなのか、おおいに疑問です。この制度は、準備作業、設立、設立後の運営に余分な労力と経費が必要です。この問題は、法人化しようとする組織の規模が小さいほど、顕在化します。企業経営では同じような事務はまとめて効率的に実施する工夫がされ、市町村合併が首長や議員を減らして経費削減をするために進められていることと対比すると、明らかでしょう。これまでに、都道府県や政令市などの大きな組織以外には地方独立行政法人を設立していないのも、このためです。実際、最近地方独立行政法人化した東京都立産業技術研究所では、法人化してかえって経費が増大しましたし、首都大学東京で経費が減少したのは、多数の退職教員の給与が減少したためでした。法人理事長や評価委員の手当などの法人化による経費は、利用者である学生や市民のみなさんにしわ寄せされます。市民のみなさんが住民税増税などで苦しんでいる時に、経費の増大する地方独立行政法人化を急ぐべきなのか、都留市の規模で、市役所の他に法人組織を設立運営する必要性緊急性があるのか、果たして可能であるのか、おおいに市民のみなさんや議会のみなさんとともに議論をしていく必要があるでしょう。
労働条件については、組合から早急に交渉を申し入れて対応されることをお勧めします。そもそも民間の労働契約関係においては、労働組合と使用者とが締結する労働協約には就業規則を上回る法的効力があります。たとえば、労働基準法36条の規定する協定が締結されていなければ、使用者が時間外労働や休日労働を命じることは違法であり犯罪となります。労働組合からの団体交渉申し入れを使用者が拒めば、労働組合法7条違反の不当労働行為となります。このような組合による規制は、民間の労働契約関係においては、地方公務員関係よりもむしろ強化されます。みなさんが組合にしっかり結束して取り組んでいけば、仮に法人化がされても、協定締結についての組合の権限により、みなさんの身分や権利をおおいに守ることができます。首都大学東京でも、一時期は、組合を軽視した法人運営をしようとしましたが、結局それでは授業も入試も実施できず、法人理事長が労基法違反の犯罪者になってしまうことが明らかになり、組合と交渉し妥結することなしには大学運営ができないことが示されています。地方自治体の当局のみなさんは、民間の労使関係について知識も経験もありませんし、日本の大企業の経営者の方でも、組合のこうした規制の力に対応する経験をお持ちの方は少ないので、とくに注意が必要です。
法人と大学のあり方などの基本的な問題は、組合や実務作業班だけでなく、大学の自治の根幹に関わる問題として、教授会が検討し発言すべき問題です。学校教育法第59条1項は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」としており、地方独立行政法人化の検討は「重要な事項」に該当します。実務作業とは別に、教授会でしっかりとした議論や意見表明が必要でしょう。教授会のみなさんがしっかりと考えていけるよう、勉強の機会や情報提供の充実が工夫される必要があるでしょう。
今後も、ご相談などがあればどうぞ積極的にお寄せ下さい。
以 上