前半は4名のパネラーから大学の現状と将来についての問題提起がおこなわれました。

まず武居秀樹准教授から文大の歴史、都留という地域における文大の意義について説明がありました。
都留のような小規模な自治体で何故ここまで大学が存続・発展し得たのか?
その理由として、

  @ 大学自治:教員全員による経営。教授会による民主的な運営

  A 効率的な経営:地方交付税交付金による安定収入および支出の節約と効率的運営

  B  学問の自由:自由で民主的な学風

を挙げ、過去50年もの間、教員の熱意や地域と地域の人々に支えられ、
優秀な教員・社会人を世に送り出す全国区の大学としてその地位を築いてきたことが説明されました。

質の高い教育、効率的で安定した経営が既になされているにも関わらず、
来年4月からの法人化が市長や市の幹部によって一方的に決定され、
大学の教職員は法人化のための準備に追われ混乱と疲労の中にあります。
この法人化の準備過程における問題点として以下の4つの点が指摘されました。

(1)    準備期間が1年と拙速(通常は2年から3年かけて準備される)

(2)    どのような大学を創るのか?理念の欠如

(3)    市民と学生の声が全く反映されていない

(4)    教員との合意さえできていない

このような状態で法人化を急ぐことの危険性について説明がなされました。

次に、学生自治会代表の柴怜児さんから学生の視点からの意見が出されました。

その論点は、

   いつの間にか法人化が決まり、いつの間にか法人化ありきになっている。

   法人化に関する情報が学生に伝わっていない。

   法人化後、自分たちの学生生活がどのようになるのか全くわからなくて不安だ。

   大学は、教員・職員・学生から構成されており、学生は大学の主役であるにも関わらず、
   法人化をめぐる議論に学生が取り残されている。

   学生の意見を反映して欲しい。

    学費を値上げしないで欲しい

というものでした。

次に、市民代表として久保敦さんがユニークな視点から問題を提起されました。

文大には校門がない = 「地域に開かれた大学」
という文大の思想・姿勢の表れではないか?
しかし、現状では市民が大学に気楽に訪れることはない。
それは何故か?
学生と市民の生活圏が重なっていないからだ。
学生は大学周辺の限られたエリアを生活圏としており、
市民のそれと異なるからだ。都留は広い。
都留市にはたくさんの財産がある(リニア・ムササビ・ホタル、史跡等々)。
学生はもっと地域に自分から積極的に出て行くべきだ。
大学と地域の人々がどのように今後つながってゆけばよいか、それを皆さんに考えて欲しい。

 

最後に弁護士の尾林氏から独法化の問題点について具体例を挙げながらわかりやすいお話がありました。

独法化によって迅速な意思決定、経営の効率化ができる?と市は説明しているが本当か?
 → NO! 
独法化というのは事業規模を減量しスリム化してゆくための方策
(つまり自治体にとっての経費削減とリストラ)であり、
独法化された組織は新たに余分な経費が必要となり、かえってコストが増す。
独法化は大学を市から切り離し、交付金を市の意向に沿って調整
(大学への交付金の繰り入れを減額する)するためのもの。
交付金が削減されれば大学は経費を削減せざるを得ない。
おまけに理事長や理事の給料という新たな人件費もかかる。
経費削減とコスト増のしわ寄せがどこにいくかというと、
それは学生に対してである。
学費の値上げもおこなわれるだろう。
学問というのは長い時間をかけてコツコツと築き挙げてきた知の塔である。
そして大学における教育というのはそのような学問のプロである教授陣によってなされるべきもので、
大学の実情や学問について知らない外部の人間が口出ししてもうまくいかないのは目に見えている。

独法化とは何か?学生の皆さんにぜひ勉強して考えて欲しい。
文大や都留市のすばらしさを知り、自分たちの町にこんな大学があることを、
こんな大学で学んでいることを誇りに思って欲しい、
何故なら文大は全国でも珍しい非常にユニークな大学なのだから。


前半のパネラーによる意見と問題提起の後、後半では市民や学生からの質問、意見等を交えての議論がおこなわれました。
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